かけそば、もりそば、ざるそば、せいろそば…蕎麦屋に行くとその種類の多さにどれを食べようか悩んでしまうほど。
しかしかけそばはともかく、もりそばもざるそばもせいろそばも違いが全然分からないという人もいるでしょう。
実際現在のそばはこの3種類に違いはほとんど無いのです。
現在では消えてしまったそばの由来を歴史と一緒に勉強してみましょう。
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そばの歴史はかけそばから始まっている
もともとお店で提供されていたそばはもりそばのみで、当時はもりそばという名称もありませんでした。
かけそばは、江戸が発祥です。
当時の江戸っ子といえば気が短くせっかちなのが特徴で、このかけそばもいちいちそばを箸でつまんで汁につけて食べるのが面倒になった江戸っ子が、つけるための汁を全てそばの乗っていた器に掛けたことから始まっています。
こうすることでそばの入っている容器につゆが入り、いちいち食べる分だけ汁につけずに一気に食べられるようになります。
この動作から、最初はぶっかけそばとも呼ばれていたのです。
ちなみに、今ではかけそばといえば温かいのが常識ですが、当時のかけそばはせっかちな江戸っ子が急いで食べるのに丁度いい冷たいつゆでした。
温かいかけそばは、冷え性の女性のために生まれます。
冷たいかけそばはそば全体に冷たいつゆがかかっているので体を冷やしやすく、冷え性の女性や寒い時期になると食べるのが辛くなることから、現在の丼スタイルの温かいかけそばが誕生しました。
今ではかけそばといえば冬に頼むのが一般的で、上に乗せる具のバリエーションも豊富なことから、ちょっとしたお祝いのときや節目のときに食べられることが多いです。
年越しそばなどもそうですね。
江戸時代ではそばは非常食で、しかも腹下しを起こしやすいことからあまり好かれていなかったことを考えると、大出世した麺と言えます。
ざるそばとせいろそばの起源ともなるのがもりそば
もともとお店で一般的に提供されていたのは、もりそばです。
当時はもりそばという呼び名はありませんでしたが、せっかちな江戸っ子がかけそばを生み出してから、かけそばを食べたい人ともりそばを食べたい人の両方が現れるようになりました。
そこで、つゆをぶっかけたかけそばと、お皿に盛ったもりそばの2つの名称がつき、それぞれ今日まで親しまれているのです。
もりそばの器を変えて海苔を乗せたのがざるそば
もりそば、かけそばの2種類が定着した頃、伊勢屋というお店がもりそばの容器にざるを使うようになります。
ザルを使うことで視覚的に涼しくなることから良さそうだと始めたことですが、これが大当たりしてあすぐにさるそばブームがやってきます。
しかしときが経つに連れ、もりそばもザルに乗せて提供する店が増えたため、ざるそばともりそばの違いがあやふやになりました。
最初は使う素材も差別化していましたが、徐々にそれもなくなり、同じそばを使い同じそばつゆを使っているお店がほとんどです。
今では違いを探すとなるとそばの上の海苔の有無くらいです。
せいろそばはもともと蒸し蕎麦だったことが由来
今日の茹でるそばが確立されたのは江戸時代のことで、それ以前はそばを茹でると麺が切れやすかったため、せいろで蒸して作られていました。
そのため、歴史でいえばもりそばよりも早くからせいろそばはあったのです。
その後茹でるのが一般的になり、かけそば、もりそばと種類が増えてから、せいろに乗ったもりそばをせいろそばというようになりました。
お店によってはせいろに乗っていてももりそばという名称で提供されていたりと、どこのお店にいっても必ずあるメニューとは限りません。
容器が違うだけで基本的にはせいろそばとももりそばは一緒のものです。
そのため、どちらかがメニューにあればもう片方のメニューは無いということも多いです。
せいろが一般的に使われるようになったのはそばの高騰のため
そばブームが続くなかで、そば粉が高騰した時期がありました。
そのため蕎麦屋さんは幕府にそばの値上げを要求します。
しかし幕府はそれを拒否したため、実質値上げをするしかなくなってしまいました。
そこでちょうど良かったのがせいろです。
せいろは容器の縦の長さに対して深さが全然ありません。
そのため、少し盛っただけでも山盛りになっているように見えるのです。
そこで、これまでもりそばで提供していた量よりも減らして価格を変えずに出すことで、お客さんにはバレずい実質値上げを行いました。
今のもりそばとざるそばとせいろそばに違いはほとんどない
現在のこの3種類のそばの見分け方は何で見分けるかと言ったら、海苔と容器しかありません。
基本的に味は全部一緒なので、海苔の有無だけで考えても問題ありません。
あとは量に多少の違いがある程度なので、トッピングの中身や価格で選ぶのもいいでしょう。